2025/11/12懲戒処分の基礎
社会法研究会
野田雄二朗、三宅結花、安田昂央

窃盗・横領等の金銭に関わる非違行為及びSNSの利用に関わる非違行為を中心に、非違行為が業務上行われた場合と私生活上で行われた場合とで懲戒処分の可否、程度に相違があるか否かについて、研究会を開催しました。
発表担当者が愛知県経営者協会と共同で制作した研修動画「懲戒の基礎」(愛知県経営者協会の会員向けに配信)を基にした研究会であり、最初に動画を視聴した上で、三宅結花会員より金銭に関わる非違行為に関する裁判例の紹介が行われ、懲戒処分の程度に差が生じることの是非等について議論がなされました。その後、安田昂央会員よりSNSが使用された場面(投稿した時間・場所・使用した機器)と投稿の内容(業務に関する内容・私的な内容)から行為態様を4類型に分類した上で、各類型における懲戒処分の可否について、私的メールの使用やビラ撒き、ホームページへの記事投稿等、SNSの利用に類似する行為態様が問題となった過去の裁判例を取り上げつつ検討が行われました。
当日の議論は、各会員がそれぞれの具体的な事件の経験に基づいて意見を交わし、事案に対する処分内容の軽重については見解が分かれる場面もありました。しかし、そもそも紛争予防こそが重要であること、例えば使用者側において就業規則その他の規程を整備しかつ適正に運用すべきという点では概ね意見が一致しました。また、紛争化しても訴訟等に至る前に合理的な解決を図るための実務上の知恵や工夫についても各会員の貴重な経験が共有されました。

